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量子化された状態を巧みに利用するエネルギー変換材料を創る Quantum Energy Processes

研究概要 Research interestsprofile

わたしたちは、自然光である太陽光や人工光であるレーザーを利用する材料について研究しています。
Materials utilizing solar light and/or lasers as natural and artificial sources are investigated.

量子エネルギープロセスについて Quantum Energy Processes

光を利用したエネルギー変換システムに関する研究を行っています。 有機分子および無機半導体で構成される構造に光を照射したときの、励起状態から基底状態に戻る緩和過程での発光、発電、あるいはそのほかの仕事を高効率に引き出すような新材料およびプロセスを設計し、エネルギー変換デバイスへの応用を図ります。 とくに、有機および無機材料からなるナノサイズの構造体を開発し、集光、光電変換、電荷輸送、貯蔵、あるいは発光などの重要な機能の発現を目指した基礎科学研究を行っています。具体的には、

(1)有機・無機複合ナノ構造体の材料設計
(2)それらの電子構造解析と光学特性評価
(3)光電変換素子(太陽電池や光触媒等)あるいは発光素子等への応用

を行います。

We are interested in the development of energy conversion systems utilizing light. We design new materials and processes for highly efficient light-emitting, power generation, and/or other outputs via the relaxation process from the photoexcited state to the ground state of organic molecular materials and inorganic semiconductors. In particular, studies are focused on the fundamental science for demonstrating important functions of light-harvesting, photoelectron conversion, charge transport, storage, and light-emission through the development of nanosized structures made of organic and inorganic materials as follows:

(1) Materials designed of nanosized structures made of organic and inorganic composites,
(2) Electronic structural analyses of materials and characterization of their optical properties,
(3) Applications for photovoltaics (solar cell, photocatalyst, and so on), light-emitting device, and/or others.

最近の研究成果については、こちらをご覧ください。
Recent research findings can be seen here.


以前(2013年頃まで)の研究の概要
Summary of previous research findings (to 2013 along the line)

(1)はじめに〜有機・無機複合ナノ材料の設計と光化学および光物理学研究
Introduction: Meterials designs of organic/inorganic composites and their photochemical and photophysical investigations

 一次元ナノ材料は、超比表面積効果、ナノサイズ効果、超分子配列効果、表面機能の向上、電気的特性、結晶性の向上といった様々な特異な性質から注目を集めており、多くの分野に応用されています[1-3]。当研究室では、一次元ナノ材料を構築する手段としてソルボサーマル法とエレクトロスピニング法を組み合せ、結晶成長条件と紡糸条件を精密に制御することによって種々のナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤー、ナノファイバーを作製しました。これらの材料を、以下のように光電変換素子としての太陽電池や光触媒へ応用し、高い結晶性と一次元に伸びたナノ構造体に基づく電荷移動効率の増大を実現しました。

(2)酸化チタンナノファイバーおよびチタン酸ストロンチウムナノファイバー
Titanium oxide nanofibers and strontium titanate nanofibers

 ポリビニルピロリドンとチタニウムブトキシドをメタノールに溶かしてアセチルアセトンを添加した混合溶液を、印加電圧15 kVで電界紡糸して、450℃で3時間焼成し、直径250 nmの均質な酸化チタンナノファイバーを得ました。酸化チタンナノファイバーを利用した色素増感太陽電池を 組み立てると、酸化チタンナノファイバー電極利用により光散乱に起因する光電流発生量の増大と電流密度の向上を実現し、最大で8.1%の変換効率を得ました[4]
 また、ポリビニルピロリドンとチタニウムブトキシドおよび酢酸ストロンチウムを酢酸に溶かしてアセチルアセトンを添加した混合溶液を、印加電圧15 kV で電界紡糸して、700℃で3時間焼成し、直径250 nmの均質なチタン酸ストロンチウムナノファイバーを得ています[5]。このチタン酸ストロンチウムナノファイバーに異種元素を助触媒として担持させたり、ドーピングしたりすることにより、水からの水素発生に関して、担持やドープをしていないチタン酸ストロンチウムナノファイバーよりも7倍から15倍高い光触媒活性1.2〜2.5 mmol h-1を得ています。

(3)酸化亜鉛ナノロッドアレイ
Zinc oxide nanorod arrays

 ソルボサーマル法を最適化して、直径25 nm、ロッド長240 nmの酸化亜鉛ナノロッドアレイを作製しました。すなわち、酢酸亜鉛を原料として基板となる ガラス透明電極スズドープ酸化インジウム表面に、酸化亜鉛のシードを形成させておき、これを硝酸亜鉛水溶液にヘキサメチレンテトラミンを添加した 混合液に浸漬して加温し、均質なナノロッドを得ました[6]。この酸化亜鉛ナノロッドアレイを、導電性ポリマーのポリ(3-ヘキシルチオフェン)と組み合せた有機・無機ハイブリッド型太陽電池の電子輸送材に応用した結果、酸化亜鉛ナノロッド表面に、インドリン誘導体やスクアリリウム等の色素小分子を修飾すると、 固定化色素の双極子モーメントの向きと大きさおよびモル吸光係数の大きさによって、電流密度(4倍増)と開放電圧(倍増)がそれぞれ効果的に増大しました[7]。酢酸亜鉛をアルカリ条件でかきまぜて作製した酸化亜鉛ナノ粒子(直径4 nm)についても、有機・無機ハイブリッド太陽電池の電子輸送材に適用し、 上記と同様の方法で色素小分子を修飾しました。その結果、ナノ粒子はナノロッドよりも表面積が顕著に大きいことによる、色素の大量固定化を実現するものの、 色素を用いた酸化亜鉛の表面修飾は、導電性ポリマーがナノ粒子間の空孔へ浸透するのを妨げてしまい、光電変換に寄与しない空隙の存在により、変換効率の 低下をもたらすことが明らかとなりました。ただし、ナノ粒子の方がナノロッドよりも開放電圧はやや高めになることがわかりました[8]

(4)ポルフィリン・フラーレン一次元分子集合体
One dimensional molecular assembly of porphyrin-fullerene

 光合成におけるバクテリオクロロフィルの類縁化合物であるポルフィリンの末端に、長鎖アルキル基が2本付いたグルタミド脂質を合成し[9]、中心金属に亜鉛を挿入しました。この化合物には3ヶ所のアミド結合があり、シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でこれらの部位の分子間水素結合形成により、自己組織化したポルフィリンの一次元分子集合体が形成されます。この中心金属亜鉛に、配位性官能基としてピリジル基をもつフラーレンが配位結合を形成して並ぶ、バイコンティニュアスなキャリアパス構築に成功し、ポルフィリンを集光アンテナとするポルフィリンからフラーレンへの高効率光誘起電子移動システムを実現しました[10,11]
  1. T. Sagawa, et. al., Chirally self-assembled nanofibrils and their applications (Chapter 2), Bottom-up nanofabrication: Supramolecules, self-assemblies, and organic films, Self-assemblies II, Vol. 4, ed. by K. Ariga, H. S. Nalwa, American Scientific Publishers, pp. 35-65 (2009)
  2. T. Sagawa, et. al., One-dimensional nanostructured semiconducting materials for organic photovoltaic cell, J. Phys. Chem. Lett. 2010, 1 (7), 1020-1025
  3. T. Sagawa, et. al., Polymer based organic photovoltaics with one-dimensional nanomaterials, Part IV Organic thin film solar cells and printable technologies, Chapter 1, Trends in Advanced Sensitized and Organic Solar Cells, ed. by T. Miyasaka, CMC Publishing Co. Ltd., pp. 213-219 (2012)
  4. S. Chuangchote, et. al., Efficient dye-sensitized solar cells using electrospun TiO2 nanofibers as light harvesting layer, Appl. Phys. Lett. 2008, 93, 033310/1-033310/3
  5. L. Macaraig, et al., Electrospun SrTiO3 nanofibers for photocatalytic hydrogen generation, J. Mater. Res. 2014, 29 (1), 123-130
  6. P. Ruankham, et al., Vertically aligned ZnO nanorods doped with Li for polymer solar cell: defect related photovoltaic properties, J. Mater. Chem. 2011, 21 (26), 9710-9715
  7. P. Ruankham, et al., Surface modification of ZnO nanorods with small organic molecular dyes for polymer-inorganic hybrid solar cells, J. Phys. Chem. C 2011, 115 (48), 23809-23816
  8. P. Ruankham, et al., Effects of morphology of nanostructured ZnO and interface modification on device configuration and charge transport of ZnO/polymer hybrid solar cells, Phys. Chem. Chem. Phys. 2013, 15 (24), 9516-9522
  9. T. Sagawa, et. al., Self-assembled fibrillar networks through highly oriented aggregates of porphyrin and pyrene substituted by dialkyl L-glutamine in organic medial, Langmuir 2002, 18 (19), 7223-7228
  10. H. Jintoku, et. al., Highly efficient and switchable electron-transfer system realised by peptide-assisted J-type assembly of porphyrin, Chem. Commun. 2010, 46 (38), 7208-7210
  11. H. Jintoku, et. al., Non-covalent one-to-one donor-acceptor assembled systems based on porphyrin molecular gels for unusually high efficiencies in electron transfers, Chem. A Eur. J. 2011, 17 (41), 11628-11636

量子エネルギープロセス

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